AI時代のゲームエンジニア・クリエイター、9割超がスキル陳腐化を懸念
株式会社Hiraku agentによる調査では、ゲーム業界で働く20~50代のエンジニア・クリエイターを対象に「ゲーム業界で働くエンジニア・クリエイターのリスキリング」の実態が明らかにされました。
AIをはじめとする技術の急速な進化に伴い、自身のスキルが陳腐化する(古くなる・通用しなくなる)という危機感について尋ねたところ、20代の若手層、30~50代のミドル層ともに9割を超えており、大多数が強い危機感を抱いていることが判明しました。特にミドル層においては、「強くある」と回答した割合が4割半ばに達しており、より大きなプレッシャーを感じている状況がうかがえます。

スキル不足や技術の陳腐化への焦りや不安を感じる状況としては、「AIなどの代替技術の台頭を感じたとき」(46.3%)が最も多く、「若手の高い技術力を見たとき」(43.2%)、「他社の高品質なゲームを見たとき」(34.0%)と続きました。テクノロジーの進化による環境変化だけでなく、若手の技術力や他社作品との実力差といった外部からの刺激も、クリエイターが焦りを感じる要因となっていることが示唆されます。
企業によるスキルアップ支援とリスキリングの実態
企業が社員のスキルアップに対して行っている支援について尋ねたところ、「専門書籍・ツール購入費の補助」(42.4%)が最も多く、「業務時間内の学習機会提供」(40.5%)、「キャリアコンサルティング・面談」(34.2%)が上位を占めました。学習環境の整備に加え、従業員一人ひとりのキャリア形成に直接寄り添う多角的な支援が行われていると考えられます。

実際にリスキリング(新しいスキルの学習や学び直し)を行っているかという問いに対しては、20代で88.3%、30~50代では95.0%が「はい」と回答し、大多数がリスキリングを実践していることが明らかになりました。特にミドル層において、ゲーム業界で活躍し続けるための自己投資や学び直しが日常的な活動として定着している実態がうかがえます。
リスキリングの方法としては、「専門書籍や技術ブログ、Web記事などによる独学」(52.0%)が最も多く、「個人でのゲーム開発やツール制作(R&D・副業含む)」(41.7%)、「オンライン動画学習プラットフォームの活用」(38.6%)が続きました。企業のサポートを活用しつつも、クリエイター自身が自ら手を動かし、個人の裁量やペースで柔軟に学べるアプローチが好まれる傾向にあると考えられます。

リスキリングを成功させた場合に得たいリターンとしては、「AIなどの技術変化に淘汰されない『雇用の安定と安心感』」(38.3%)が最も多く、「裁量権が増え、自分の作りたいゲームや企画を実現できる『業務の自由度』」(27.9%)、「市場価値の向上による『年収・報酬のアップ』」(20.4%)となりました。AIなどの進化に取り残されないための防衛意識が強い一方で、クリエイターとしての裁量拡大や待遇向上といった、自身のキャリアを前進させるためのリターンも同時に求められていることが見て取れます。
この調査結果の全容は、以下のリンクよりご覧いただけます。
https://hiraku-agent.com/?p=4663&post_type=column&preview=1&_ppp=cdc6b895a3
世代で異なる理想のキャリアパス
今後のゲーム業界でのキャリアにおいて、最も目指したい方向性についても世代間で異なる傾向が見られました。
20代では、複数のスキルを掛け合わせる「フルスタック志向」がトップとなり、3位に「条件の良い他社への転職」がランクインするなど、自らの市場価値をスピーディーに高めていきたいという積極性がうかがえます。一方、30~50代では、組織運営に関わる「マネジメント志向」が最多となり、3位には「スペシャリストとして現場を極める志向」が入りました。年齢や経験を重ねるにつれて、個人のスキルアップだけでなく、チームを率いる役割や、一つの職人道を追求する形など、目指すキャリアの軸がより明確に分かれていく傾向があるようです。

まとめ
本調査により、ゲーム業界で働くエンジニアやクリエイターの多くが技術進化に対して危機感を抱き、高い割合でリスキリングに取り組んでいる実態が明らかになりました。企業は書籍購入補助や業務時間内の学習機会提供といった支援を行い、それが社内評価にも結びついているポジティブなサイクルが見られます。
また、身につけたスキルの先に見据えるキャリアパスは世代ごとに特色が現れています。若手層が「フルスタック化」や「転職」を通じて自身の市場価値を高めようとする一方で、ミドル層は「マネジメント」や「現場のスペシャリスト」を目指す傾向が見られました。
技術が多様化する中で、ゲーム業界においても企業は画一的な支援にとどまらず、個々のキャリアパスに寄り添った具体的な学習ロードマップの提示や、より柔軟な学習環境の整備が求められるでしょう。
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