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AIチャット相談後の行動実態を調査:医療機関受診への影響とメンタルケアにおけるAIの役割

ニュース

メンタルヘルスケアにおけるAI相談の新たな実態

近年、対話型生成AI(以下、AI)が身近な相談相手として利用される機会が増加しています。これに伴い、「AIへの相談が、医療などの専門的支援へのアクセスを妨げるのではないか」という懸念が指摘されてきました。この状況を受け、株式会社Awarefyおよび同社が運営する「こころの総合研究所」は、日本在住の約950名を対象とした「認知行動療法の認知度調査(2026年5月)」の分析結果の続編を公開しました。

本調査では、「人々がどのような相談先に頼っているのか」「メンタルの不調を感じた際にどのような行動をとっているのか」「相談先の中でAIがどのような位置づけにあるのか」に焦点を当て、その実態が報告されています。この分析は、AIがメンタルヘルスケアにおいて果たす役割と課題を明らかにするものです。

調査結果サマリー

調査により、以下の点が明らかになりました。

  • メンタルケアのための相談資源として最も利用経験が多いのは「身近な人」であり、AIへの相談経験者は4割、次に相談したいと考える人は2割を超え、AIが主要な相談先として定着しつつあります。

  • 「AIに相談すると、受診しなくなる」という懸念は、本調査からは確認されませんでした。AIに最初に相談した人のうち、2割は身近な人へ、1割は医療機関へとつながっています。

  • 専門的な支援を利用している人のうち55.3%がAIを「併用」しており、AIと専門的ケアが排他的な関係ではない可能性が示唆されています。

  • 精神的健康度が低いグループでは、利用経験のある相談先の1位が「身近な人」ではなく「AIチャット」に逆転しています。これは、AIが「エネルギーが足りないとき」に選ばれる傾向があることを示唆しています。

  • AIをめぐる議論の中で見落とされてきた「AIにも、どこにもつながっていない層」の存在が明らかになりました。メンタル不調時に「何もしなかった・様子をみた」人のうち6割以上が、最終的にどこにもつながれないままでした。

相談資源の選択状況

メンタルケアのための相談資源として、8種類の相談先について「相談したことがある」「次に相談したい」「相談したくない・使う予定はない」などの認識が尋ねられました。

「相談したことがある」という回答が最も多かったのは「家族・友人・同僚や上司など身近な人」(56.4%)でした。次いで「AIチャット」(41.1%)、「医療機関(精神科・心療内科等)」(22.2%)が続きます。

「次に相談したい」では、「AIチャット」(23.4%)が第1位となり、「医療機関(精神科・心療内科等)」(20.3%)、「家族・友人・同僚や上司など身近な人」(18.1%)が続きました。この結果から、AIチャットがメンタルケアの主要な選択肢の一つとして認識されていることが示されています。

一方で、「相談したくない・使う予定はない」相談先としては、SNS・掲示板など知らない人への匿名相談が67.3%と最も高く、公共相談(54.7%)、カウンセリング(自費)(53.4%)が過半数を超えました。

相談したくない・使う予定はない相談先

AI相談後の行動と医療機関受診

過去1年間にメンタル不調を感じたことがある669名に対し、「最初にとった対処」と「最終的にとった対処」が調査されました。

不調時に最初にとった対処は、「家族・友人・同僚や上司など身近な人への相談」(27.7%)が1位、「何もしなかった(様子を見た)」(21.2%)が2位、そして「AIチャットへの相談」(13.9%)が3位でした。

AIチャットを最初の相談先として選んだ人のその後の行動を追跡したところ、50.5%がAIでの対処で完結し、20.4%が家族や友人などの身近な人へ相談、11.8%が最終的に医療機関を受診していました。不調を感じた人全体における医療機関への到達率は15.1%であり、AIを入口とした人の医療到達率が全体と比べて大きく低下する傾向は確認されませんでした。

専門的支援とAIの併用

メンタルケア目的でAIを利用した経験がある人は34.4%でした。現在メンタルヘルスの治療・専門的支援を受けている132名に絞って分析すると、そのうち55.3%がAIをメンタルケア目的で利用した経験があると報告しています。この結果は、専門的ケアを受けている人がAIを日常の相談相手として併用している可能性を示唆しており、AIが専門家の「代替」ではなく「並走する資源」として活用されている可能性が考えられます。

精神的健康度と相談先の関係

精神的健康度を3つの水準に分類し、メンタルケア目的でのAI利用経験と相談先の関連が分析されました。

精神的健康度が低い層(n=136)では、メンタルケア目的でAIを使用したことがあると回答した割合が42.6%と、他の層よりも高い傾向が見られました。また、健康度が高い層と中程度の層では「身近な人」が相談先の1位であるのに対し、健康度が低い層では「AIチャット」が1位となり、順位が逆転しています。

精神的健康度が低いグループでの相談先の逆転

この逆転は、精神的健康度が低い層で身近な人に「相談したことがある」と回答した割合が有意に少なかったことに起因しています。心身のエネルギーが低下した状態では、身近な人に相談するハードルが高く、時間や場所、相手の反応を気にせずに話せるAIが受け皿となっている可能性が考えられます。なお、この調査は一時点での関連性を捉えたものであり、因果関係を示すものではありません。

「何もしない」層の課題

メンタル不調時、最初の対処として「何もしなかった(様子を見た)」を選んだ142名のうち、64.8%は最終的にも何の対処にもつながっていませんでした。この層からは、「本当に不調の時は何もできない、する気にならない」「ケアを求めるほどではないと感じた」「相談することが恥という印象がある」といった声が寄せられています。

メンタル不調を感じた時の「入口」と「出口」

リスクが懸念される「AIに相談した人」の多くが何らかのケアの流れの中にいるのに対し、「何もしない」人たちは、AIにも人にも専門機関にもつながれないまま、ケアの流れの外に留まっている現状が明らかになっています。

考察:AIの役割と今後の課題

こころの総合研究所の所長である高階光梨氏および研究員の武井友紀氏は、AIが「知識が豊富」「気兼ねなく話せる」「いつでも・いくらでも話せる」といった特長により、身近な相談相手としての地位を確立しつつあると指摘しています。同時に、誤情報(ハルシネーション等)や過度な依存といった懸念も議論されてきました。

本調査は、AIを最初の相談先として選んだ人が「その後どのような相談資源にたどり着いたか、あるいはたどり着いていないのか」という行動経路を具体的に捉えることを目的としていました。

「AIにも、どこにもつながっていない人」の存在

調査により、AIをめぐる議論の陰で見落とされてきた「AIにも、どこにもつながっていない層」の存在が浮き彫りになりました。不調を感じたときに最初に「何もしなかった」人のうち64.8%が、最終的に何のケアにもつながらないままでした。この層は、「動く気になれない」という意欲の低下、「どの段階で専門機関に相談すべきか分からない」という判断のつかなさ、「どの情報が最新で適切か判断できない」という情報の壁に直面しています。

「判断のつかなさ」や「情報の壁」は、AIが新たな入口として普及することで一部解消される可能性が期待されます。しかし、「動く気になれない」という壁は、相談先が増えても、そのハードルがどれだけ下がっても、それだけでは越えられない問題です。

AIは「エネルギーが足りないとき」に選ばれる

精神的健康度が低い層では、AIチャットが最も利用経験のある相談先となりました。これは、AIが積極的に選ばれているというよりも、「身近な人に頼りにくい」状況から生まれていると考えられます。心身のエネルギーが足りないときほど、人に相談するハードルは上がりますが、AIになら打ち明けられるという側面があります。この意味でAIは、これまで支援が届きにくかった人や、手を伸ばしやすい頼り先を持たなかった人にとっての新たな「ケアの入口」になり得ます。

専門的ケアへの「橋渡し」としてのAI

AIをメンタル不調時の新たな「入口」と捉えたとき、次に検討すべきは、この入口が専門的ケアへのつながりを「妨げる」のか、それとも「橋渡し」できるかという点です。

今回の調査結果では、AIを入口とした人の医療機関への到達率は、不調を感じた人全体の到達率を大きく下回ることはなく、むしろ「最初に何もしなかった」人よりもわずかに上回っていました。このことから、AIが専門的なケアを妨げている状況は確認されませんでした。さらに、現在治療・専門的支援を受けている人の55.3%がAIを併用していることを踏まえると、AIは専門的ケアを「代替」するのではなく、並走する日常の相談相手として使われている様子が伺えます。

しかし、最初にAIに相談した人の約半数(50.5%)がAIへの相談で対処を完結しているという事実も軽視できません。AIの相談利用によって必要なケアが妨げられているかどうかは、今回の調査結果のみでは判断できませんが、精神的な不調を抱える人など、傷つきやすい状況にある人ほどAIの影響を受けやすいという指摘もあります(American Psychological Association, 2025)。このため、メンタル不調時の「入口」となりつつあるAIの安全性は、最優先で担保されるべきものと言えます。

リスクを最小限に抑えつつ、気持ちの整理を助け、相談するための準備を後押しし、必要なときに次の選択肢へ橋渡しする。そうした振る舞いができるようになったときにこそ、AIは真の意味で「安心安全な相談相手」となり、メンタル不調時の頼れる「入口」の役目を果たせるでしょう。

調査概要

  • 対象エリア: 全国

  • 対象者条件: 18歳以上、日本国内在住者

  • サンプル数: 959名(うちIMC項目に適切に回答した918名を分析対象)

  • 調査手法: インターネット調査等

  • 調査期間: 2026年5月25日〜5月31日

  • 実施主体: 株式会社Awarefy「アウェアファイこころの総合研究所」

関連情報

AIメンタルパートナー「Awarefy」

AIメンタルパートナー Awarefy

「Awarefy(アウェアファイ)」は、AIなどのテクノロジーに、科学的エビデンスに基づく「認知行動療法」等のアプローチを組み合わせたスマートフォンアプリです。これまでに100万人以上をサポートしてきました。AIキャラクター「ファイさん」との対話機能や、心のコンディションを振り返る機能、マインドフルネス瞑想の音声ガイド、課題別の学習コースなど、メンタルヘルスケアに役立つ300種以上のコンテンツが提供されています。

AIキャラクター「ファイさん」のアイコン

アプリのダウンロードはこちらから:https://awarefyapp.onelink.me/rTTt/r4fstoyt

株式会社Awarefy

株式会社Awarefyのロゴ

株式会社Awarefyは、最先端AIテクノロジーと科学的エビデンスに基づく「認知行動療法」等のアプローチを組み合わせたAIメンタルパートナー「Awarefy」アプリの開発・運営を主軸に事業を展開しています。人々が自身の「大切にしたいこと」と向き合える社会の実現を目指し、アプリ機能の拡充に加え、復職・職場復帰をサポートする施設「アウェアファイ リワーク」の運営など、メンタルヘルスケア領域への貢献を目指しています。

  • 所在地: 東京都新宿区西新宿2丁目6-1 新宿住友ビル24階 GROWTH新宿 ROOM-4

  • 代表取締役CEO: 小川 晋一郎

  • 事業内容: アプリ「Awarefy」の企画・開発・運営、福祉リワーク施設「アウェアファイ リワーク」の運営等

  • 企業HP: https://www.awarefy.com/

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