メンタル不調を感じる人は7割超、専門機関の利用は2割弱に留まる
調査対象者全体のうち、過去1年間にメンタル不調を感じたことがある人は72.9%に上りました。しかし、精神科・心療内科・心理カウンセリングなどの専門機関を実際に利用した人は17.3%に留まり、メンタル不調を感じる人の多さに比して、専門的な支援を受ける人が少ない実態が浮き彫りになりました。
認知行動療法(CBT)の認知度と利用状況
CBTについて「名前を聞いたことがあるが内容は知らない」と回答した人は37.4%、「内容まで知っている」人は16.3%で、CBTを認識している人は全体の半数程度(53.7%)でした。しかし、メンタルケアの手段として「使ったことがある」と回答した人はわずか6.8%と、7種類のメンタルケア方法の中で最も低い利用経験率を示しました。また、「よく知らない」と回答した人は半数(50.1%)に上り、心理的アプローチとして位置づけられるマインドフルネス・瞑想(「よく知らない」32.4%)と比較しても、CBTの認知度の低さが際立っています。

CBTを受けたいと思ったことがある人は14.5%でしたが、実際に受けたことがある人は3.5%に過ぎませんでした。「受けたいと思ったが受けられなかった」という経験がある人も9.2%おり、利用意向があっても障壁によって利用に至らないケースが少なくないことが示唆されています。
CBT利用を阻む「情報の壁」と「費用・心理的な壁」
CBTを受けたいと思いながらも受けられなかった理由として、最も多かったのは「どこで受けられるか情報が分からない」で、次いで「費用が高い・経済的に難しい」、「効果があるか不安・自分に合うか分からない」が挙げられました。

自由記述では、「内容もよくわからないし、どこの病院で受けられるかわからない」「複数回受ける必要があり、費用が高いイメージがある」といった声が寄せられています。一方で、実際にCBTを受けたことがある人の中には、専門家による対面支援だけでなく、「書籍で自分で実施」や「YouTube、テレビ、SNS、Webサイト等で学び自分で実施」といった多様な形で実践している実態も明らかになりました。

制度改定の認知度は低いものの、知れば6割超がCBTに期待
2026年6月に施行された診療報酬改定では、これまで医師・看護師に限定されていた保険適用下のCBT実施者に公認心理師が加わり、心理支援加算の対象疾患も拡大されました。これにより、専門的な心理支援を少ない費用負担で受けられる可能性が広がりました。
しかし、この本改定について「知らなかった」と回答した人は約94.2%に上り、制度の認知度は極めて低い水準であることが判明しました。一方で、調査内で改定内容を伝えたところ、「ぜひ受けてみたいと思うようになった」(6.2%)、「今は必要ではないが困った時に受けてみたいと思うようになった」(55.8%)と回答した人が合わせて62.0%に達し、制度変更を知ることでCBTへの意向が高まることが確認されました。
専門家コメント:情報の壁を乗り越え、多様なアクセスを
早稲田大学 人間科学学術院 教授の熊野 宏昭氏は、CBTがまだ「ほとんど知られていない」という事実がデータとして可視化されたことに言及し、「CBTは自分の役に立つかもしれない」と思ってもらえるよう、正確な情報を社会に行き渡らせることの重要性を強調しました。また、医療保険に収載されたことで受けられる機会が増え、認知度も徐々に高まるだろうとの見解を示し、対面だけでなくオンラインやアプリなど、多様な入り口が用意されることがCBTを必要とする人に届ける上で重要であると述べました。

こころ総研 所長/主席研究員の高階 光梨氏と研究員の武井 友紀氏は、CBTの認知から利用へと進む各段階に大きな隔たりがあることを指摘し、その主な要因として「情報の壁」と「費用・心理的な壁」の2つを挙げました。制度改定は「費用の壁」を軽減する可能性があるものの、「情報の壁」の分厚さが依然として存在しており、適切な情報発信の継続が不可欠であるとしています。

今後の展望
本調査結果は、メンタルヘルスケアの普及において、制度の整備と並行して適切な情報発信が極めて重要であることを示唆しています。CBTが必要な時に適切な形で提供される社会の実現には、国民の認知度向上と、情報アクセスにおける障壁の解消が不可欠です。
株式会社Awarefyは、AIなどのテクノロジーと科学的エビデンスに基づく認知行動療法を組み合わせたAIメンタルパートナーアプリ「アウェアファイ」を開発・運営しています。

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株式会社Awarefyは、アプリの機能拡充に加え、復職・職場復帰を目指す方をサポートする施設「アウェアファイ リワーク」の運営など、メンタルヘルスケア領域での貢献を目指しています。

こころ総研は、今後もこのような調査を通じて、制度の前進が当事者に届き、メンタルヘルスケアに対する人々の認知や行動を変えていくプロセスを追跡し、その変化を後押しする情報発信に努めていくとしています。


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