クリエイター実態調査レポート第2弾:インボイス未登録・判断保留が約半数、契約書締結率は36.6%に低下
協同組合日本イラストレーション協会(JILLA)は、2014年から隔年で実施している「クリエイター実態調査アンケート」の調査開始10年を記念し、「2024年度クリエイター実態調査」の第2弾レポートを発表しました。本レポートでは、クリエイターの経理・事務・福利厚生、および仕事環境に焦点を当て、近年の制度変更がクリエイターに与えた影響や、働き方・意識の変化について分析しています。
調査から見出された5つの主要ポイント
1. 契約書締結率の大幅な低下
受注時に「常に契約書を交わす」と回答したクリエイターの割合は36.6%となり、2022年調査の55.8%から大きく減少しました。「たまに交わす」が47.1%で最多となり、「交わさない」も16.3%に増加しています。フリーランスを取り巻く法整備が進む一方で、取引内容の明文化が十分に定着していない実態が浮き彫りになりました。

2. インボイス登録率は約半数
インボイス制度への対応について、「登録した」と回答したのは49.9%にとどまりました。「登録するつもりはない」(33.6%)と「登録する予定」(16.5%)を合わせると、約半数のクリエイターが未登録または判断保留の状態にあることが判明しました。

3. 制作スキル以上に「営業力」への関心が高まる
今後身に付けたいスキルとして、「営業力(交渉・マーケティング)」が379件、「営業力(告知・宣伝・SNS)」が363件となり、制作技術そのものよりも、仕事を獲得し続ける力への関心が高いことが示されました。また、2023年のインボイス制度導入や2024年のフリーランス法施行を背景に、法律知識への関心も再び上昇しています。

4. フリーランス法の認知度は73.5%
2024年11月に本格施行された「フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」について、「知っている」と回答したクリエイターは73.5%と高い水準を示しました。しかし、「知らない」と回答した割合も26.5%存在し、さらなる周知の必要性も明らかになりました。

5. 画像生成AIへの危機感が自由回答で最多
自由回答では、画像生成AIによる無断学習への懸念や、価格交渉力のさらなる低下を危惧する声が最も多く寄せられました。一方で、AIを制作ツールとして活用し、新たな働き方を模索する前向きな意見も見られました。
その他の詳細な調査結果
副業の現状と理由
副業をしている理由では、「本業の収入だけでは生活できない」が20.9%で最多となりました。「スキマ時間を生かせるから」(18.5%)、「本業のスキルを活かせるから」(17.1%)が続き、収入補完だけでなく専門性を生かした働き方としても副業が定着しつつあることがうかがえます。

仕事の場所とドローイング環境
仕事の場所は「自宅事務所」が80.5%を占め、在宅を拠点とする働き方が定着しています。デジタルで作画を行うクリエイターは全体の62.5%で、使用デバイスでは従来のWACOM製ペンタブレットなどに加え、「iPad Pro」の利用が30.1%まで増加しており、制作環境のモバイル化・多様化が進んでいることが示されました。

福利厚生と将来への不安
「十分に休暇が取れている」と回答した割合は34.3%と、2022年調査から大きく回復しました。健康診断を「毎年受けている」割合も46.6%に増加しており、休暇確保や健康管理に対する意識が高まっていることがうかがえます。

一方で、「いつ収入が減るか不安」(17.0%)、「何歳まで働けるか不安」(16.6%)といった将来に対する経済的・キャリア面での不安は依然として根強く、また「単価が変わらない・安い」(11.3%)という声も多く寄せられました。

業界団体への期待と国への要望
業界団体に期待することとしては、「地位向上に向けた提言活動」や「業務・トラブル相談窓口」など、実務的な支援を求める声が多く、クリエイターを支えるセーフティネットへの期待が高いことが明らかになりました。

国に対しては、インボイス制度の廃止・見直しを求める声が最も多く、フリーランスの社会保障の充実を求める意見も多く見られました。
調査から見えてきたクリエイターを取り巻く環境の変化
本調査からは、この10年間でクリエイターを取り巻く仕事や働き方、経営環境が大きく変化していることが明らかになりました。
主たるクリエイティブ業務に加え、インボイス制度やフリーランス法への対応、副業への取り組みなど、フリーランスとして事業を継続するために求められる知識や対応が増え、経営環境は一層複雑化しています。
制作スキルだけでなく営業力や情報発信力が重視される一方、契約書締結率の低下や将来への不安、画像生成AIへの危機感など、新たな課題も浮上しています。
JILLAは今後も継続的な調査を通じて、クリエイターを取り巻く環境変化を把握し、実態に基づく情報発信と課題の可視化に取り組むことで、クリエイターが安心して創作活動を続けられる環境づくりに貢献していくとしています。
次回のクリエイター実態調査(回答募集)は、2026年12月に実施される予定です。
調査概要
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レポート名: 2024年度クリエイター実態調査結果報告書(レポート②)
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実施主体: 協同組合日本イラストレーション協会(JILLA)
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調査対象: クリエイティブ関連に携わる国内の小規模事業者(個人・法人)
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調査期間: 2024年度クリエイター実態調査アンケート2014年〜2024年(隔年・継続調査)
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有効回答数: 2024年調査では、1,090名(男性343名/女性704名/答えたくない43名)
関連情報・問い合わせ先
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JILLAブログ:
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本件に関するお問い合わせ:
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協同組合日本イラストレーション協会(JILLA)調査研究事業
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