「震え」は動物に備わった原始反応
動物が大きな音やショッキングな出来事に遭遇した際に震える様子は、多くの方が目にしたことがあるかもしれません。この「震え」は、過度の緊張を緩め、過剰に生成された化学物質(ホルモン)を排出するための自然な機能であり、動物が生きるために備えられた原始反応の一つです。
しかし、人間は進化の過程でこの「震え」に対して否定的な意識を持つようになり、必要な場面で無意識に抑制してしまう傾向があります。これにより、トラウマやストレスを体内に抱え込み、排出できないケースが多いとされています。
トラウマやストレスを乗り越えるTRE
トラウマは、自然災害、戦争、事故、病気、DV、モラハラなど、誰の身にも起こりうる出来事によって生じる可能性があります。
本書で紹介されるTREは、腹部の奥にある神経回路を呼び起こし、脳にまでアプローチするエクササイズです。「震え」を通じて、自分の中にある「回復のための本能」を実感し、途切れてしまった体と心の信頼関係を再構築することを目的としています。このエクササイズの特長は、トラウマやストレスの原因を問わず、一人で安全に実践できる点にあります。
トラウマ、PTS、PTSDの正しい理解
トラウマは心身に強い衝撃を受けた体験から生じ、それに伴う症状や反応、行動は「PTS(心的外傷後ストレス)」、あるいは本書では「トラウマ反応」と表現されています。「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」は医師による診断を受けた場合の病名です。近年では、PTSDの基準では捉えきれないトラウマ症状に対して「C-PTSD(複雑性PTSD)」という診断名も用いられるようになっています。

トラウマを抱える人々は、否定的な言葉や体験に過剰に反応する一方で、抑うつ状態では肯定的な言葉や経験への反応が鈍くなる傾向があります。また、人への執着が強まったり、過剰に社交的になったりする反面、うつ状態になると人間関係から距離を置き、社会的に孤立するケースも確認されています。

本書は、トラウマやPTS、PTSDを抱える人々の理解を深め、支援に役立つ情報も提供しています。
幅広い適用範囲を持つTREエクササイズ
TREのエクササイズは、トラウマやPTSDといった深刻な心の傷を抱える人々だけでなく、生活習慣病、メンタルの不調、生きづらさを感じる方、病後・術後のケア、腰痛、便秘、冷え性、むくみ、更年期障害など、様々な身体的・精神的なトラブルにも効果が期待されます。また、日々の体調管理やストレスで張り詰めた神経を緩めるための習慣としても推奨されており、眠る前に行うことも効果的とされています。


書籍概要
本書では、TREの背景にある理論から、7つの具体的なエクササイズ、そして体験者のレポートまで、多岐にわたる内容が収録されています。
もくじ(抜粋)
はじめに
序 人類はトラウマを乗り越え成長してきた
第1章 トラウマ、トラウマ反応(=PTS)の正体
第2章 トラウマ、PTSの乗り越え方
第3章 やってみよう! 7つのエクササイズ
第4章 体験者レポート
おわりに
著者プロフィール
デイヴィッド・バーセリ Davi d Be r c e l i , Ph.D.
トラウマおよびストレス緩和の分野における国際的なセラピスト。世界70カ国、500万人以上の人々に身体的アプローチによる支援活動を展開。TRE(Tension & Trauma Releasing Exercises /トラウマ解放エクササイズ)の開発者。
可児さえ (TFA JAPAN 代表、TRE® 認定トレーナー)
ロンドン大学アジアアフリカ学院にて国際開発学の学士・修士を取得。開発途上国の防災教育を専門に13年間勤務。2011年東日本大震災を機に帰国し、東北の復興支援に従事。TRE®国際認定トレーナーとして、日本およびアジア5カ国で講座を展開。
書籍情報
タイトル: 『TRE・震えて癒す0(ゼロ)レッスン』
著者: デイヴィッド・バーセリ、可児さえ
定価: 1,760円(本体1,600円+税)
体裁: A5判192ページ
ISBN: 978-4-528-02509-7 C0011
発売日: 2026年4月3日
発行: 日東書院本社
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